
こんばんは。突然ですが、財務分析で出てくる資産回転日数の意味を一緒に考えていきましょう!
本日は財務分析の資産回転日数に関して解説をしていきたいと思います。
意外とその意味を整理しておく事は実際の実務で分析業務をしている人は大切です。
特に財務分析は暗記ではなく、ロジックを確り理解し、洞察を得る為に、その財務分析が何を意味しているのか、という点を意識する必要があります。
基本
まず回転日数の話をする前に、基本的に財務分析には3つのポイントがある事に留意しましょう。
- Profitability Ratio(収益性:PLで確認)「利率の程度」
- Activity Ratio(効率性:BSとPLで確認)「小さい資本で、大きな収益をあげているか。資金効率。」
- Solvency Ratio(安全性:BSで確認)「短期、或いは、長期的に支払い能力が十分か」
ROEという指標の意味
ROE = (Net Income / Sales) × (Sales / Total Assets) × (Total Assets / Shareholder’s equity)
上の式は、即ち、以下の意味を示しています。
ROE = Profitability × Activity Ratio × Solvency Ratio
回転日数とは?
今回はActivity Ratio(効率性)に関係する資産回転日数に関してフォーカスします。
なお、繰り返しますが、財務分析で大切なのは、その意味であって、数値そのものではありません。
これは、企業の戦略だけがその財務分析の結果を正当化できるからです。つまり、一つの指標や数値が絶対的な意味を有しているのではなく、相対的にその意味が与えられ、評価されるものだからです。
これはいくつも分析してきたちきーとすの経験からそう感じます。
さて、実際に「債権回転日数」を観察していきます。
債権回転日数 = 売掛債権の平均残高 /(売上高 / 365)…(A)
上の式の意味は、1日あたりの売上高を算出した上で、債権残高は何日分の売上高相当なのか、を意味しています。
一方で、この債権の回転率は、AR Turnover ratio (Times) = Sales / Ave. ARと表現できます。
単にSalesの値はAve. ARの何倍かを示しています。これを回転率(測定期間の内何回転するか)と表現している訳ですね。
実は(A)の式は、以下の式と数学的に説明が可能です。
Step 1:債権回転日数 = 売掛債権の平均残高 /(売上高 / 365)
- 1日あたりの売り上げ高を算出。(a)BS残高の量を日数換算する為の基準を算出。
- (a)を基に債権残高(BS)が何日相当なのか算出。
<測定期間=1年間=365日を前提に「年間の債権残高」と「年間の売上高」の比率を出している>
Step 2:債権回転日数 = 365 × 『売掛債権の平均残高 / 売上高』
<測定期間=1年間=365日を前提に「年間の売上高」と「年間の債権残高」の比率=「Flow÷Stock」には「回転率」という名前がついている(結果的にFlowに対するStockの回転率を示している為)。2 timesであれば売上高は債権の2倍(2.0倍という比率)。回転する対象はStock。回転速度を算出する為に同期間におけるFlowを使用している。速さ=1÷回転率(Flow÷Stock)。この速さは回転率の逆数、即ち、Stock÷Flow=速さ、である為、同測定期間におけるFlowの累計量を基準にStockの残高の比率を示している。2倍であればFlowに対して2倍の速度でStockが増加するし、1/2であれば同速度で減少する。従って回転率の逆数は、一定期間におけるStockの増減率=変化率(増減する速度=傾き=角度)を示している。であるからして、増減率(速度)×時間(経過日数) = 量(Stock残高を日数換算ベースに置き換える)と言える。 Step 4は、365日÷回転率=365日 ×(1÷回転率)= 「365日(X軸:経過時間) × 増減率(傾き:角度)=Y軸:Stock残高の日数換算(量)」。e.g. 一定期間におけるFlowの累計量(日数換算された累計日数)に対するStock残高(日数換算相当で何日分?)の比率が一定である事を前提に、そのStock残高は日数換算をするとどの程度になるかが算出される。
Step 3:債権回転日数 = 365 ÷ 『売上高 / 売掛債権の平均残高』(=回転率を示している)
- Step 2の×『』とStep 3の÷『』は、四則演算の掛け算と割り算の違いがあります。
- 従って、『』の分子(売掛金の平均残高)と分母(売上高)が入れ替わっている事に注意して下さい。
Step 4:債権回転日数 = 365 ÷ 回転率
- 1回転当たりを日数換算していると言う事ですね。
つまり、回転率で測定期間を割る事で、回転日数が算出できるという事です。
上の形式で説明をすると頭に入りやすいのではないかと思います。
よくネットや市販されている解説書では、突然、測定期間を回転率で割る事で回転日数を算出していますが、その意味というのは、上述のプロセスを念頭におくとよく理解できるはずです。

基本だけど永久保存版だね。